税務調査 調査1日目編はこちら
前回の記事では、実地調査1日目を書きました。
2日目が一番ポイントになると私は思っています。
調査官が前もって気になるなと思い調べてきた点、実地調査に来て新たに出てきた点がある程度見えてくるからです。
では今回は調査2日目を説明していきます。
税務調査 2日目午前の部開始
10時から1日目の続きが始まりました。
コロナ禍に入ってから、通常の税務署管轄の調査で変更があった点があります。
コロナ禍前は、調査官はひたすら現地に用意された紙ベースの総勘定元帳と、請求書や納品書などの証憑類をペラペラ閲覧しながら、気になったところに付箋を貼っていき、コピーを依頼してきました。
今回の調査では、できるだけデータ形式での資料の提出を依頼されました。
調査官は持参したUSBに、暗号化した状態で持ち帰ります。
CSV形式で提出した主なもの
- 仕訳帳3年分
- 銀行振込データ3年分
- 給与振込全銀データ3年分
- 住民税振込データ
- 全従業員名簿
- 全従業員給与台帳3年分
- 稟議システムの三年分の履歴
- 車両管理台帳
PDF形式で提出した主なもの
- 各種契約書類
- ピックアップされた社員の履歴書
- ピックアップされた社員の年末調整資料
- 健康診断受診管理資料
- ピックアップされた社員のタイムカード
- 社内のシステムフロー概要図
- 科目別税区分集計表、科目別課税対象額集計表
午前中は、前日に渡していた上記データについての調査官からの質問がほとんどを締めました。
それと加えて、新たに用意してデータで渡す作業を担当者に準備して頂きました。
ランチタイム
12時になったので調査官はお昼に外出しました。
ランチ時でも意外に油断できません。
鋭い調査官の方は、さりげなく出くわした社員との何気ない会話から指摘事項が入ることもあります。
他の税理士先生との話であった例を書かせていただきます。
その調査対象会社は、会社内にカフェがあり、調査官がそこでお弁当を買おうと並んでいたらしいです。
調査官の前に並んでいた調査対象会社の社員の方に、
お昼の補助とか会社から出るの?
そうなんです!有難いです♪
いい会社ですね!全額ですか??
そうなんです♪
後日調査官から、社員の食事補助に対して源泉所得税を徴収していないとの指摘が入りました。
金額としてはそれほど大きくはないので、その税理士先生は補助していたことを知らなかったようでした。
昨今は福利厚生を充実させて、社員の離職率を下げる取組をされている立派な会社が増えてきていると感じます。
福利厚生の取組をされる際は、一度顧問税理士に、
「社員に対して福利厚生の一環で〇〇〇〇を行おうと考えていますが、税務的には何か問題ありますか?」
と是非一度確認して下さい。
上記のように、何気ない会話の中でも調査官は常にアンテナを張り巡らせています。
顧問税理士とは、日頃からコミュニケーションを充分にとり、指摘事項を減らせるようにしましょう。
税務調査 午後の部開始
午後が始まるときに私の方から、2日目に入りましたけど、何か気になるところはありますか?と確認をしてみました。
しっかりとされている印象を受けています。
元帳の摘要欄の書き方を見ても、書類の出てくるスピードからも非常にしっかりされている印象を受けていますとのことでした。
こちらのお客様は仕訳伝票の摘要欄をかなり詳細に記載されており私も関心しています。
書類も予め担当者の方と打ち合わせをし、言われたらこの資料を提出しましょう、この論点はおそらく聞かれると思いますので、この資料を念の為用意しておいて下さい、と準備をしておいたことで好印象を与えることができました。
午後も含めて、この日に論点になったことを以下ご説明します。
税額控除 中小企業経営強化税制
中小企業経営強化税制を利用し、太陽光発電設備を即時償却により5,000万円を一括損金にしていました。
運送業のお客様ですので、車両の買換えが頻繁にあり、中小企業投資促進税制だけで税額控除の限度額を満額使えます。
中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制は併用可能です。
税額控除限度額は満額使用できるので、太陽光設備は即時償却を選択しました。
調査ではこういった特殊処理は必ず確認が入ります。
依頼された主な資料は
- 工事設置契約書
- 発電データがわかるもの
- 経営力向上計画の控え
事業供用日がちゃんと対象期に入っているかの確認のため、発電データの初めの日を確認していました。
参考:国税庁 中小企業経営強化税制
グループ会社との取引
この会社は主に以下のグループ間取引があります。
管理料
グループのホールディングス会社に対して、売上の一定割合を管理料として支払っています。
- 取引契約書
- 管理料算定根拠
上記を提出し、実際に役務提供を受けている内容を説明しました。それに対して割合は適正と判断され問題はありませんでした。
管理料を設定されている法人様は多いかと思います。
目安としては、売上の10%を超えてくると、説明にかなり説得力をもたせる必要があると感じます。
業務委託料
100%子会社の経理を調査対象会社でおこなっています。
その対価として、業務委託料を取っています。
こちらも上記と同様の書類を提出し説明しました。
実際親会社が行っている業務と、そこに当てている社員の数で、その社員の人件費をベースに金額を決めています。
こちらも適正と判断され問題ありませんでした。
グループ間での取引は、必ず契約書や金額算定根拠を確認されます。
寄付金と認定されないように、しっかりとした説明資料を準備しておきましょう。
2日目は17時に終わりました。
17時に近くなってきた時にも、特に新しい論点が出ずに、小さな論点だけのようでした。
実地調査は早く終わった方が、お客様にとっても良いことです。
こちらから調査官に、大きい論点がないようでしたら、3日目は総括して頂き終わらせましょうと提案して帰って頂きました。
税務調査 3日目 総括
今回の調査は、予定通りスムーズに進行しました。
10時に調査官が来社されました。
調査官から総括にしましょうと話が始まりました。
そこで小さな論点は指摘事項として挙げて頂き、調査結果としては修正申告や追徴税額もない、是認で終了となりました。
税務調査 是認を勝ち取るポイント
税務調査について3回に渡って記事を記載してきました。
税務調査で是認を勝ち取るポイントの中で、一番重要なのは、日々の実務での顧問税理士との密なコミュニケーションです。
税務調査が入ることが決まったら、調査官に与える印象、真摯な対応を心掛けることです。
調査中は顧問税理士と、調査の確認事項に対しての進め方、交渉をする点、妥協する点諸々しっかり共有しながら進めて下さい。
上記のことを進めていけば税務調査は決して怖いものではありません。
自信を持って対応していきましょう。
顧問税理士をつけていない方、顧問税理士が頼りなさそうなどあれば、税務調査だけのスポットでの対応もしておりますので一度ご相談ください。
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